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「はやぶさ」関連で

12/26発売のサイエンスウェブでは、緊急レポートとして「はやぶさ」に関するJAXA執行役である的川氏が文章を寄せられています。内部の立場から見た今回のはやぶさミッションの様子が分かる記事になっています。はやぶさはいくつかのトラブルを経験し、また帰還に関しても危ぶまれている状況ですが、世界初の成果も数多く達成しています。

さて、そんなはやぶさミッションに水を差すような記事がネット上に掲載されました。

研究の失敗に寛容な風土はできるか

日経ネットの「プロの視点」というコラムです。日経サイエンスの編集長もなさったという清水正巳という方が書かれた文章ですが、内容に関しては首を傾げたくなるようなものです。
コラム全体から受ける印象は、非常にネガティブなものです。砕けた表現で言うと「ホンとは失敗だけど成功って言ってるんじゃないの?」という感じ。松浦晋也氏がご自身のブログ(松浦晋也のL/D)でこの記事に反論されているので、こちらも参照してください。

「はやぶさリンク」:日経新聞・清水正巳編集委員の記事に関して

松浦氏も指摘していますが、清水氏のコラムでは事実を誤認されている部分が多いように思います。JAXAでは成功と失敗を明確にしていますし、清水氏が「あやふや」と言っている部分は「未確定」あるいは「未確認」な部分です。意図的に「あやふや」としているなら、読者のミスリーディングを誘っているとしか思えません。
ちなみに、的川氏の記事では、以下の点を「世界初あるいはそれに準じるチャレンジ」のうち現時点で達成したものとして、

  • 電気推進エンジンによる惑星間航行
  • 電気推進エンジンを用いたスイングバイ
  • 工学情報を用いた小惑星接近
  • 自律航法・誘導による小惑星着地・離陸
  • 弾丸発射による表面物質の採取
  • 小惑星科学観測を実施
  • 惑星空間からの地球帰還

の7点を挙げています。この中で「弾丸発射による表面物質の採取」に関しては電源リセットのためデータが失われてしまい未確定となっています。

また、清水氏のコラムでは

政府の科学技術政策はいま、成果主義の考え方が鮮明になってきている。目標を明確にし、達成できれば研究費も継続的に注ぎ込み、達成できなければ厳しく査定するという考え方である。

と書かれています。確かに世間には「成功か失敗か」という考え方の人は多いと思いますし、政府がはやぶさミッションの成功を「小惑星サンプルの回収」と考えているフシはあります。しかし、失敗から学べることが多いというのは、ほとんどすべての科学者やエンジニアが知っていることですし、なによりはやぶさミッションでは(失敗もあったけれど)前述したような成果も挙げているのです。
ところが清水氏のコラムではこの後、成果主義が失敗を隠蔽したり成果を捏造する土壌になっているという展開になり暗にはやぶさミッションを「失敗しているのに成功と言っている」と言っているようにも思えます。失敗を恐れるなというのであれば、批判すべきは政府の成果主義であって、はやぶさの成果を疑うことではないと思うのですが。
「プロの視点」と銘打っているからには、もっと視野を広く持って欲しいものです。

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トラックバックできないのでURLリンクになるけど、ちょいと取り上げました。コラム、ひどいねえ。

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