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SFの中のロボットたち(2)

■SFの中のロボットたち~ロボット三原則

 ロボットといえば、アイザック・アシモフが生み出した“ロボット三原則”を忘れるわけにはいかないでしょう。アシモフは、ロボットは陽電子頭脳に組み込まれた三原則によって行動しなければならない、という制限を考え出すことで、さまざまな小説的アイディアを生み出しました。例えば「三原則によって人間に危害を加えられないはずのロボットが殺人を犯したのはなぜか?」というものです。また、小松左京の『ヴォミーサ』(1975)のように、三原則を逆手に取った作品もあります。

ロボット三原則

  • ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
    A robot may not harm a human being, or, through inaction, allow a human being to come to harm.
  • ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
    A robot must obey the orders given to it by the human beings, except where such orders would conflict with the First Law.
  • ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
    A robot must protect its own existence, as long as such protection does not conflict the First or Second Law.

われはロボット 〔決定版〕 アシモフのロボット傑作集ハヤカワ文庫 SF SF的なアイディアとしてはもちろんですが、アシモフは三原則によってロボットにアイデンティティを与えたかったのではないかと私は思えてなりません。(ロボット三原則をまとめたのは、アスタウンディング・サイエンスフィクション誌編集長ジョン・W・キャンベルですが)
ロボットのアイデンティティ、ひいては人類に対して「人間とは何か?」という問いかけではないか?アシモフのロボット物の代表作『われはロボット(I, Robot)』というタイトルにもそれが表れていると思うのです。

 ところで、アシモフは後年、ロボット三原則にもうひとつルールを組み込んでいます。第零法則と呼ばれるこの法則は、三原則の第一条の“人間”を“人類”に置き換えたものです。

  • ロボットは人類に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人類に危害を及ぼしてはならない。

 また、第一条には“第零法則に反する場合はこの限りではない”という一文が追加されます。三原則よりも優先する第零法則は、人類の発展に障害となるならば、三原則を無視できるというものです。小説的に見れば、ロボットのほとんど登場しないアシモフのファウンデーション・シリーズにおいて『なぜロボットは消えてしまったのか』という謎の答えとして作り出されたアイディアなのですが、注目すべきはこの第零法則をロボット自身が考え付き、自ら規定したという(設定にアシモフがした)ことです。これこそ、ロボットの自我の目覚めといえるのではないでしょうか。

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