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ネット時代のジャーナリズム:メモ

朝日新聞4/30付けの記事。

日本の歴史問題、米国専門家も懸念 アジア戦略と対立(朝日新聞)

 日本の歴史問題への対応が、日本と中韓両国との関係だけでなく、日米関係にも悪影響を及ぼしかねないとの懸念が米国の日本専門家の間で広がっている。小泉首相が参拝を続けてきた靖国神社が示す歴史観は先の戦争を正当化するもので、日本の戦争責任を認めたうえで成り立つ戦後の国際体制の否定に通じると見ているためだ。日韓や日中の関係悪化は、東アジアの安定を望む米国の国益にそぐわないと考えていることもある。

 ジョンズ・ホプキンズ大学ライシャワー東アジア研究所のケント・カルダー所長は「戦争を正当化することは、日本と戦った米国の歴史観と対立する。異なった歴史解釈のうえに安定した同盟は築けない」という。在京米大使館で大使の特別補佐官を務めたこともあるカルダー氏は「多くの米国人が靖国を知るようになると、日米関係の障害となりかねない」と恐れている。
(中略)
 国務省内の不満について、カルダー氏は「隣国と対話できない日本は、米国にとっても役に立たない。日米同盟が機能するのは、日本がアジアのなかで役割を果たしてこそだ」と解説する。

 これだけなら、ふぅん、という記事だがこれには裏が。
 この記事の中にあるケント・カルダー氏の発言に違和感を持ち、メールで問い合わせた留学生がいた。

パンダとそらまめ:Publication Biasと新聞記事 ~その1:決め打ち型

 この方のブログによると、カルダー氏の主張は『日中間がエネルギー問題、歴史問題で悪化している。アメリカの国益のためには、日米同盟の強化、日中間の対話、アメリカ政府の不介入が必要』というものであり、朝日新聞の記事の内容とは異なっている。
 そして、カルダー氏からのメールには、以下のような内容が書かれていたという。

 私は、特に現職や過去政府の経験がある外国人が国内問題に入るべきでないと強く思っているが、朝日新聞は私を、不適切に、私がそう思っている国内問題に非常に近づけてしまった(the Asahi Shimbun pulled me inappropriately very close to a domestic matter)。
 既に朝日新聞にはインタビューの翻訳ミスについて抗議したところ。インタビューは***の自宅で数週間前にあったもの。インタビューの長文記事は5月4日に掲載される予定で、私の国内問題に立ち入らない決意をもう少し繊細に扱っていてほしいものだ。*(私の意図を明確にするため)*、明朝インタビューをした***論説委員と会う予定だ。

 つまり、朝日新聞の内容は、カルダー氏の意図とは異なるものになっているというもの。実際にどのようなインタビューであったのかは明らかにされていないが、朝日新聞が恣意的な引用をしたことは想像に難くない。というよりも、典型的な『結論ありき』の記事と言えるだろう。朝日新聞の言いたいのは一番最初の段落の部分で、これは記事を書いた記者の考えだ。その後文中に登場するカルダー氏をはじめとする専門家は、単なる権威付けと受け取れなくも無い。こうやって『専門家が言っている』ように見せかけて、朝日新聞の思想を読者に刷り込んでいる。

 こんなことも、そらまめさんのブログ、そして(メールを送る)という行動が無ければ明らかにはならなかっただろう。ネットワーク時代においては、個人でもこうしたジャーナリズムが成立するという実例だ。
 こうした動きが“電凸”という流れに繋がっていくのだが、それについてはまたいつか。

関連:
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コメント

なるほど興味深く読みました。
私は靖国参拝反対であるが、
意図的に記事を作ってはいかんよね。
逆効果になることをわかってないね。

TB&引用ありがとうございました。「ジャーナリズム」なんておっしゃって頂いて恐縮し放題です(汗)。

意見があるなら「オレの意見だ」とはっきり(書名付きにでもして)言えばいいのにと思えてなりません。事実報道に徹するように見せかける非生産性、読むほうの読みづらさ、利用されるむなしさ、何もいいことがないと思います。

>せぐっちゃん
自分の意見を言うことはいいんですけどね、「専門家」なる人を連れてきて権威付けしたり、歪曲したりしてはいかんよね。

>そらめめさん
わざわざコメントありがとうございます。
これからは、ひとりひとりがジャーナリストとして声を上げていくべき時代だと思ってます。

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