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企業の危機管理能力どこへ

■先例に学んでいるか?
 給湯器による一酸化炭素中毒事故で、強気の記者会見から一転謝罪したパロマ工業に批判が集まっている。主に1)事故は不正改造が原因としていたが、老朽化による事故もあった2)少なくとも15年前から事故発生を把握していた、という点が問題とされている。

 パロマの謝罪会見を見て思い出されるのが、雪印乳業と松下電器だ。前者は危機管理能力の欠如を晒した例として、後者は危機管理対応の優れた例として。加工食品であれ工業製品であれ、人の手を介するものである以上ミスや事故は不可避と言える。問題はいかにミスや事故を少なくするか、そして事故が発生してしまった後どのように対応するかだ。パロマ同様一酸化炭素中毒事故が発生した松下は、すぐさま事故を公表し謝罪すると共に広告枠を対象機器回収の告知に充てた。また、全国のポストに危険を知らせるはがきを投函して告知に努めた。さらに、時間が経過したあとも告知を継続している。その対応は、事故は起こってしまったけれど、逆に松下の信用度を向上させる結果に繋がった。

 なぜパロマは松下を見習えなかったのか?もちろん同じことをしろとは言わない。あの対応は松下だからこそできたのであって、パロマがやったらたちまち倒産してしまう。同じことをしないまでも、その対応の核を見極めていれば最初の記者会見のような失態を演じずに済んだのではないか。

■不正改造を放置した責任
 たとえ不正改造であっても、パロマの給湯器が事故を起こしたことに違いはない。不正改造したのが悪いのであって、パロマに責任は無い、我々も被害者だという姿勢は、(シンドラーの対応をみていると)言質を取られることで後の裁判で不利になるというアメリカではアリかもしれない。だが、日本では反感を買うだけだ。「不正改造が原因と思われるが、それを防げなかった責任はある。申し訳なかった、徹底的に調査する」と言えば、だいぶ印象も違っただろう。

 エンジニアの視点から見れば、不正改造の事実を把握した時点で不正改造が行えないような何らかの方策を講じるべきであったと思う。例えば、安全装置のブラックボックス化や高機能化などだ。ただ、そうした場合コストを上昇させるため、コストを重視する経営者からは容認できないことだろう。また、日常頻繁に使用するヘビーデューティーな製品だけに単純さもポイントだったのだろうとは思うが、それにしてもショートさせただけで回避できてしまう安全装置とは……。

 ついでに書くと、ガス漏れ検知器の設置は義務付けるべきだと思う。もちろん、費用はガス会社やガス器具会社が負担して。我が家にもガス漏れ検知器があるが、入居の時購入させられて苦い思いをした。確かにユーザーの操作ミスでガスが漏れることもあるが、今回のように器具の不具合で漏れることもある。そのリスクをなぜユーザーだけが負わなければいけないのだろう?むしろ、ガス器具にガス漏れセンサを内蔵する形にはできないものなのか?

■一族経営の弊害
 もうひとつ指摘されているのが、一族経営の弊害だ。パロマの創業一族である小林家は「無事故のパロマ」を標語に掲げており、そのため事故に関する報告が上に上げられなかったというものだ。事故報告をすれば小林家から睨まれ、出世できないのではないか?という心理から事故報告が途中でもみ消される。だから幹部連中は事故の詳細を知らず、最初の記者会見では「事故は不正改造だけ」と強気に出たのだろう。もしすべてを知っていて強気にでたのなら、人間性を疑ってしまう。

 同様のケースが、三菱自工の事故隠しにも見られる。事故というのは、いわばマイナスの成績だから、無いに越したことは無い。多発してしまえば責任を問われ出世できない。こんな考え方が三菱の問題を生んだ。それと同じことがパロマでも起きたのだろう。
 要するに、企業は「どこを向いて仕事をしているか?」ということが問題なのだ。消費者を単なるサイフとしてしか見ていないなら、自分の出世だけが大切だと考える人間ばかりなら、その企業は淘汰されてしかるべきだ。

 すべての一族経営・同族経営の企業が「悪」とは言わないが、多かれ少なかれパロマと同じような問題を内包していることは間違いない。それが問題となるかならないかは、トップに立つものの資質がポイントだろう。ただ、鷹の子が鷹であるとは限らない。とんびが鷹を産むということわざは、鷹がとんびを産むことも決して少なくないということを教えているのではないだろうか?

■交換時期不明のあやうさ
 それにしても今回の事故で気になったのは、「ガス給湯器っていつ交換すればいいの?」ということだ。火がつかなくなったり物理的に壊れれば交換せざるを得ないが、そうでなければたとえ何十年経った製品でも使ってしまうのが現実だろう。だが、工業製品が永遠に使用できるとは思えない。定期メンテナンスや部品交換で寿命が延びたとしても、せいぜい20年程度だろう。使用頻度によって寿命も変わって来るだろう。使い込めばそれだけ早く寿命を迎える。ただ、コンスタントに使っているものより、たまにしか使わないものが寿命が短かったりすることもあるのがやっかいだ。

 ガス給湯器なんてほとんどの家庭にあるもので、しかも直接命に関るような製品の交換時期がはっきりしないのは不安だ。とりわけ賃貸アパートの給湯器なんて、メンテナンスがされているのかどうかも定かではないし、いつ頃設置されたのかもわからない。
 そろそろ工業製品全般の交換時期に関するガイドラインが策定されてもいいのではないだろうか?

■おまけ:ピンクスキン
 科学捜査班の活躍を描いたドラマ『CSI』の第三シーズンで、一酸化炭素中毒で死んだ死体が全身ピンクだという描写があった。一酸化炭素は、血中のヘモグロビンと結合しやすく、一酸化炭素を多量に吸い込むとヘモグロビンが一酸化炭素ヘモグロビン(CO-Hb)に変化、酸素を運ばなくなるため死に至る。これが一酸化炭素中毒死。Co-Hbは鮮やかな紅色をしているため、全身がピンクになるという。

 ピンクの肌と言えば、スタートレックに登場するアンドリア人は、地球人を「ピンクスキン」と呼ぶ。アンドリア人の肌が青いからなのだが、もしかしたら、アンドリア人の目の構造によって地球人の肌がピンク色に見えているのかも知れない。もしそうならアンドリア人にはなりたくないなぁ。

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