« DEATH NOTE the Last name | トップページ | ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟 »

明日への誓い

若き女船長カイの挑戦 明日への誓い 一族の裏切り者オスマン・ヴァッタを倒し、武装貨物船<フェア・カリーン>を手に入れたカイは、自分の貨物船<ゲイリー・ドバイ>を従姉妹のステラに任せ、無事船団を目的地まで運んだ。しかし、法的トラブルを避けるためステラを残し次の星系への移動を余儀なくされる。そしてカイは宙賊に対抗する手段として、私掠船団を集めた戦闘集団の設立を思いつくが…。
 若き女性船長の活躍を描くシリーズ第三弾。

 シリーズを通しての謎である「敵は誰か」そして「なぜヴァッタ一族を襲撃したのか」が徐々に明らかになっていく本作は、前作までの敵からの襲撃に対抗するという状況から一歩すすみ、ようやく反撃の狼煙を上げるところまでを描く。それ故に「えっ!ここで終りなの?」という感が強い。尻切れトンボという訳ではないが、前2作がそれぞれ単独でも物語として読めることに比べると、シリーズの大きな流れの途中という印象になってしまう。要するに、続きが気になるということ。

 今作では、主に主人公カイのほか、カイの従姉妹であるステラ、伯母であるグレーシーの視点で描かれる。第一巻では口うるさい偏屈な伯母としてしか登場しなかったグレーシー伯母さんが、自らの諜報部隊とネットワークを駆使し敵に加担したものたちを追い詰めて行く様子や武器を手に侵入者に立ち向かったりと大活躍をする。そして、カイと縁が深いあの人とのロマンスの予感まである。
 一方で、カイはオスマンを殺害した時に快感を感じたことで苦悩する。その苦悩にまだ結論は出ないが、その過程での自問自答やラフェとの会話からは、正義をなす殺人者というような矛盾をはらんだ道が見えてくる。穿った見方をすれば、軍歴のある作者のエクスキューズなのかもしれない。そう思えるほど、折々に苦悩を描くことで、単純なやられたらやりかえす活劇、復讐劇、破壊して殺しまくるという話とは一線を画している。
 そして前作では単なるメッセンジャーとも思えたステラも、今作では重要な役割を果たす。行く先々で次々とトラブルに巻き込まれる(巻き起こす?)カイとは別の解決方法を見せることで、カイとステラを好対照な位置に配置するだけでなく、それぞれの得意分野を活かすことで、これからもっと思い切った活躍ができるようになったはずだ。

 そしてクライマックスの艦隊戦。これまでも艦隊戦の描写がなかった訳ではないが、カイがイニシアティブを執る本格的な艦隊戦はシリーズ初であり、今後の戦闘を予感させるものだ。ちなみに、登場する宇宙船は松本零士氏の描く船がイメージされる。なんとなくだけど。

« DEATH NOTE the Last name | トップページ | ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟 »

SF」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/38977/12886168

この記事へのトラックバック一覧です: 明日への誓い:

« DEATH NOTE the Last name | トップページ | ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟 »