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トゥモロー・ワールド

 人類に子供が生まれなくなって18年。世界は荒廃し、ロンドンだけがかろうじて文化的な社会を維持していた。その一方で、イギリス政府は外国人を排斥し、不法居住者を厳しく取り締まっていた。絶望が世界を包む中、希望を失い漫然と日々を過ごすセオは、ある日、テロリスト集団“フィッシュ”に誘拐される。テロリストのリーダーとなっていたかつての恋人、ジュリアに、セオはある少女を逃がすための助力を求められる。

 新しい子供が生まれず、緩やかな死に向かって歩んでいく荒廃と絶望が支配する世界。SF的にはありふれたテーマと言える。60年代~70年代の科学万能なユートピア映画から、80年代からはこうしたディストピアを描いたSF映画は数多い。この映画でも、一部の特権階級のみが豊かな生活をしている様子が描かれるが、そこにも絶望の影が忍び寄っている描写がある。途中までは、まったく救いのない映画なのだ。

 (以下、ネタバレあり。)

 そこに18年ぶりに生まれてくる子供という一筋の希望が生まれることで、主人公セオは命がけで彼女とその子供を守ろうとする。セオの悲しい過去が少しずつ語られることで、主人公の心情の変化が見て取れる。
 「なぜ子供が生まれなくなったのか」「なぜキーは妊娠したのか」といった謎の解明が全部すっ飛ばされていることに不満が残る。劇中でも様々な仮説が原因として挙げられるが、どれも確たるものはない。せめて、なんらかのヒントがあればもっとスッキリしたんじゃないか。

 ハンディカメラや長廻し、ロングショットなどの撮影技法が、うまく使われている演出はすごい。他のレビューなどを見ても、ラスト近くの長廻しは評判が高い。戦闘にまきこまれ逃げる主人公を追いかけるカメラは、血飛沫がついてもそのままで臨場感と一体感を覚える。途中で、レンズがきれいになっているから、たぶん外から室内に入るシーンでカット割りしているんだろうな。それ以外にも、どうやって撮ったんだろうと思うシーンもいくつかあって、CG?じゃないよなぁと頭を捻ってしまう。
 撮影とは別に、「主人公が銃を手にしない」演出も感心した。あれほどのトラブルに巻き込まれながら、引き金を引くどころか銃を掴むこともしない。基本的に逃げるだけなのだが、そう感じさせずエンディングの静かなシーンへと繋がっていく。
 それは、エンドクレジットの後に表れるメッセージ(劇中でも何回か使われる)を、主人公を通して表現したのだろうか。

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監督、アルフォンソ=キュアロン。原作、P=D=ジェイムズ『人類の子供たち』。20 [続きを読む]

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