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サムサーラ・ジャンクション

 拳銃に内蔵されたAIのアドバイスを無視したために捕えられた暗殺者、アスクル。死刑と引き換えに地球軌道上に浮かぶ巨大なコロニー、サムサーラへと送り込まれる。死んだ法王ヨハンナによって使われた巨大な資金の行方を知る、法王の側近と妹を誘拐するためだった…。

 AI搭載の拳銃や車両、人の記憶を保存するメモリーなど様々なギミックと過剰なまでのバイオレンス描写。バイオレンス・サイバーパンクとでも言うか。科学が発展しているのに人々の心は荒れ、殺伐とした世界が広がる。それでいて、キリスト教やヒンズー教が深く関わっている。オカルト系からテクノロジー系になった菊池秀行という感じ。
 読者を選ぶ、とまではいかないが、人によってかなり極端に好き嫌いが分かれると思う。

 日本版タイトル(原題は“redRobe”)にもあるサムサーラは、ヒンズー教の《輪廻》、《生命の車輪》という概念を表す言葉で、物語の中では外周が2400~2500キロ、内周が1500~1600キロの巨大な円環。「両端を切り落とした、巨大な鳥の卵」と描写されている。宇宙に浮かぶ巨大な中空の岩を地球近傍で捉え、回転させて重力を発生させている。あまり具体的な数値は挙げられていないが、オニールのスペースコロニーというよりも、ニーヴィンのリングワールドの小型版というイメージか。有機物が足りないために、死体を使う。(積極的に移民を受け入れるというのも同じ理由だ)そのために、荒れていて寂しい死の印象が常に付きまとう。村から離れると、死体が山のように転がっていたり、鳥葬場があったり。

 面白そうな舞台設定なのだが、主人公が陰気で暴力的、過去のトラウマ引きずりっぱなしで何をしたいのか分らず、行動が行き当たりばったりのように感じてしまう。もう一つの主人公であるはずの拳銃に内蔵されたAIは、主人公を追っていく動機がいま一つ不明確な上、後半影が薄くなってしまうのがなんとも。

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