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キルン・ピープル

キルン・ピープル 上 (ハヤカワ文庫 SF フ 4-19) (ハヤカワ文庫 SF フ 4-19)キルン・ピープル 下 (ハヤカワ文庫 SF フ 4-20) (ハヤカワ文庫 SF フ 4-20)

 私立探偵アルバート・モリスは、複製技術を開発した企業《UK》の創立者カオリンから、同じくUK創立メンバーのひとりヨシル・マハラル博士の捜索を依頼される。しかし、生身のマハラル博士は交通事故で死んでしまう。博士は事故死なのか?それとも殺人か?調査を進めるモリスもトラブルに巻き込まれ、事態は混迷を極めていく。

 陶土でできた人形に魂を転写する技術によって一変した世界で、自らの複製を駆使する私立探偵の活躍を描く。

 誰しもが一度は『もうひとり自分がいたら』と思うだろう。例えば、パーマンに登場するコピーロボット。デヴィット・ブリンは、その願望を、陶土の人形(ゴーレム)による複製というアイディアで実現した。ゴーレムにより世界は一変し、またそれに付随するテクノロジーも発展する。(グレードによってゴーレムを色分けするとかゴーレムを使った産業とか)またゴーレムには「1日限り」というリミットを設けたことで、さらにアイディアが膨らんでいく。こうしたアイディアの連鎖反応による(思想実験のような)世界観の構築こそSFの醍醐味だと思わせる。

 冒頭から主人公に降りかかる危機、そして反撃。さまざまな小道具や考察により推理を進めていくストーリーは、探偵ものの王道か。特に第一章は、アシモフの「鋼鉄都市」のイメージに重なる。そういえば、ブリンもファウンデーションシリーズを執筆していたっけ。それにしても軽妙でスピード感のある展開は、「知性化戦争」シリーズとは異なるブリンの新しい面を見せてくれる。全編主人公の一人称でありながら、同時刻の異なる場所でのできごとを描くというのも面白い。第三章のクライマックスにおける壮大な展開は、ブリンの面目躍如といった感もあるが、この作品の中ではむしろ浮いてしまった気がするが、それでもおもしろい。

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