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厨の研究(2)

2.騙る・乗っ取る

人のものを自分のものという厨

 警察官だったり弁護士だったり、消防署の方から来たりと身分詐称は詐欺の基本中の基本と言っていいでしょう。まっとうな人間なら自らを詐称する必要はないのですから。
 しかしそうした行為を、悪意もなく行ってしまう輩も居ます。『騙り厨』です。
 騙り厨は、簡単に言ってしまえば「他人に成りすます」厨ということです。

【ケース1】
 「(同人)イベントではお世話になりました」と突然知らない人からメールが来た。なんのことだか分からない。第一、そのイベントには参加していない。
 「そのイベントには参加していません。何のことでしょう?」
 とメールに返信してみると、自分を名乗る人物にイベントで会ったという。つまり、自分を騙る人物が居たということだ───。

【ケース2】
 友達がブログを作ったという。「ここなの」とURLを教えてもらうと、そこは自分のブログだった───。

 騙りは、他人のサイトや掲示板、ブログを自分のものだと詐称する行為です。しかし所詮は他人のもの、騙ることに何のメリットがあるのでしょう?そこには『注目されたい』『目立ちたい』という心理が働いています。

 自分の努力で名声を勝ち取るのではなく、すでに名声を得ている人のふりをすることで簡単に注目を集めることができる、ということなのでしょう。あるいは自分で作るのが面倒、作るスキルがないからすでにあるものを自分のものにしちゃえ、どうせ分からないだろうし、ということかもしれません。いずれにせよ、子供っぽい考え方に違いはありません。

 この騙りが「可愛いウソ」で済まされれば良いのですが、そうでない場合も往々にしてあるようです。ケース1で取り上げたイベントでの騙りの場合など、知っているサイトの管理人さんだから、名前を知っている作家さんだから、と(初対面であるにも関わらず)本を献上してしまうといったこともあります。騙り厨による詐欺と言ってもいいでしょう。(騙り厨に対し無償で本を上げてしまったサークルが、騙られた被害者に対し本の代金を請求するというようなおかしな話もありました)また、騙り厨がサイトの作品を印刷し同人誌としてイベントで販売したというケースも報告されています。

 厨本人は、おそらく軽い気持ちでやっているのだと思いますが、騙られた方はたまったものではありません。なにしろ自分の知らぬところで何をされているのかすらわからないのですから。

人の成果を自分の成果にする厨

 2000年前後から学校教育の中に情報処理系の授業が取り入れられるようになってきました。情報処理系といっても専門的なものではなく、また国全体で内容が統一されているものでもありませんが。それでもパソコンの操作やインターネットの基礎は教えるようになっているようで、HTMLによるWebページの作成を課題にする学校もあります。

 そこで他人の作ったサイトを自分のものとして提出してしまう、あるいはHTMLコードを全部コピーして自分のものとしてしまう『乗っ取り厨』も出てきます。

【ケース3】
 ブログのアクセス解析を見たら、あるサイトからのアクセスが多い。そこを見に行ったら、自分のブログのURLと一緒に「私のブログでーす」という文字が。そのサイトからのアクセスを禁止すると「なぜ消した」「戻せ」とメールが───。

【ケース4】
 ある日、届いたメールに「よくできていますね。でも、ちゃんと提出用のタグを埋め込まないといけませんよ」と書いてあった。差出人ドメインは学校で、差出人は教師らしい。「あて先をお間違えでは?」と返信すると、「ここは●●さんのサイトではないのですか?」と───。

【ケース5】
 友人と旅行に行ったレポートをブログに掲載。直後に「日記を消せ」というメールが。「やだよ」と返信すると、「ここは私のブログ。ハッキングされた!パスワード寄こせ!」。そんなメールは無視していると「私を副管理人ということにしろ」───。

 自分で努力しサイトを作ればよいのですが、その努力もせずに目に留まった他人の創作物を「自分のもの」と言ってしまう、さらにはそれがばれないだろうと考えてしまう、しかし、周囲の人間をだまし通せるはずもない。特に日常を書いているブログでは、個人を特定できないまでも乗っ取り厨とは別人であることは用意に判断できる。

バルサン

 サイトやブログで個人を特定するまでにはいかないが自分の特徴を公開することを『バルサンをたく』といいます。厨をあぶりだす→虫をあぶりだす→バルサン、あるいは殺虫(厨)剤という言葉遊びです。
 例えば、自分の後姿や携帯電話の写真、旅行先のスナップ、入手した限定品の画像といったものがバルサンになるようです。ただしバルサンはたき過ぎると厨以外の閲覧者もいなくなったり、個人を特定されることもあるので注意が必要です。

騙り・乗っ取りに対抗する

 あなたのサイトに乗っ取りが現れたらどうしたら?
 実害がなければ放置してもいいかもしれません。でも、気分はよくないですね。かといってサイトに「騙り・乗っ取りが現れた!」と騒ぐのも、何も知らずにサイトを訪問した人をびっくりさせてしまうかもしれません。基本的には以下のような対策が考えられます。

1)あわてない
 まずは落ち着きましょう。焦ってもいいことはありません。

2)証拠を固めておく
 サイトのオーナーが自分であることの証拠を固めておきましょう。といっても難しいことはないでしょう。例えばサイトが乗っ取られているなら、サイトとの契約書が証拠になりますし、無償サイトの場合にもID/パスワードさえ漏れなければ、あなたにしかサイトは操作できないのですから。逆に言えば、ID/パスワードの管理はしっかりして推測できるようなものは変更しておくとよいでしょう。

 乗っ取り厨の中には、プロバイダに対して「IDとパスワードを教えろ」と連絡した例も報告されています。プロバイダは本人確認ができなければ、ID/パスワードを教えることはありません。また連絡するにしても電子メールではなく、郵送の場合がほとんどでしょう。

3)拒絶/拒否の意思を示しておく
 電子メールなり内容証明郵便なりで、拒否の意思を相手に伝えておくとよいでしょう。長文にする必要もありませんし、1度だけ送れば十分です。これは相手を説得するためのものではなく、「拒否した」という証拠を残しておくためです。できればCCに自分か事情を知っている第三者を入れておきましょう。

4)自分だけでがんばらない
 家族や友達に迷惑をかけたくない、という気持ちは理解できますが、ひとりでなんでも抱え込んでもいいことはありません。あなたが巻き込みたくなくても、厨側が巻き込む可能性もあるのです。例えばサイト乗っ取りの場合、リンク先の管理人に対しては(すべてではなくとも)ある程度の事情を話しておくとよいでしょう。

5)アクセスを制限する
 相手のIPアドレスやドメインが分かったら、アクセスを制限するのもひとつの方法です。相手のIPアドレスは、アクセス解析や送られてきたメールヘッダーから判別できることがあります。

 ここに挙げたのは、基本的な対応というより「騙り・乗っ取り厨」に遭遇したときの心構えのようなものです。千差万別なケースにコレ!という万能薬はありません、やっかいなことですが。個々の事例に対応するためには、ネットで情報を集めるのも有効です。

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