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厨の研究(6)

4.あれは私で、私があれで

人に迷惑をかける『なりきり』とは

 騙り・乗っ取り・パクリ・盗用は、精神的には大きなダメージを受けるかもしれませんが、さらに肉体的な被害を及ぼす厨もいます。

【ケース10】
 街を歩いていたら、いきなり見ず知らずの女性に「●●ッ!」と知らない名前で呼びとめられ、「誰のことですか?」「私は●●ではありません」といってもとりあわず、何か得体の知れないアクセサリを渡された。最後に「また会いに行くから!」と言われたけれど──。

【ケース11】
 喫茶店でバイト中。最近よく見かける挙動不審の人がだんだんと増殖して、今では集団でやってくる。挙句の果てに私や店長を変な名前で呼び始めた。余りに迷惑だったので注意すると、「折角思い出させてあげようとしたのにっ!」と怒りだし、店内で暴れられた──。

 ゲームやコミック、ドラマの登場人物(キャラクター、キャラ)に扮装したり役柄を演じたりすることを「なりきり」といいます。子供の頃にやった「ごっこ遊び」と言えば分かりやすいでしょうか。いわゆるコスプレ(コスチュームプレイ)もなりきりの一種と言えるでしょう。イベントでコスプレをして楽しむ程度のなりきりであれば(人に迷惑をかけるわけではありませんから)問題はないのですが、中には周囲を巻き込んで迷惑をかけるなりきりもあります。ここではそれを『なりきり厨』と呼ぶことにします。

 では、周囲を巻き込み迷惑をかけるなりきりとはどんなものでしょうか。簡単に言えば、そのなりきりに付き合う気がない人間をむりやりなりきりに引きずり込むことです。なりきりもひとりでやっているうちはいいのですが、段々とそれでは飽き足らなくなってくるようです。次第に仲間を集めていくようになります。そして、まったくなりきりに興味がない第三者を勝手にあるキャラクターに当てはめて仲間にしようとします。これを「(キャラクターに)認定する」といいます。知人・友人のみならず、街や店で見かけただけの相手でも、髪型や服装、言葉遣いなどが似ているというだけで認定し、仲間にしようとします。認定する側は仲間が増えていいでしょうが、される側はたまったものではありません。
 なりきりによる認定の悪質な点は、仲間にするだけで終わらないことです。仲間にしてその作品を再現して遊ぶことからエスカレートし、なりきり厨たちの脳内で作られた勝手な設定で暴力行為や猥褻行為におよぶ場合もあります。そもそもなりきりの対象が18禁のゲーム(エロゲー)だった場合、猥褻が主たる目的となるため、巻き込まれる側の危険度は高いといえるでしょう。

 「そんな奴はいないだろう」と思う人もいるでしょうが、実際に事件として世間の話題を集めたケースもあります。少女を監禁し暴行を続けていた男が逮捕された事件ですが、警察に連行される際の格好は、知っている人間が見れば某少年漫画誌の登場人物そっくりであったことはすぐ分かります。報道では「なりきり」という言葉こそ使われていませんでしたが、被疑者があの漫画のキャラクターになりきり、その上十八禁の美少女ゲームの影響を受けてエスカレートしていったことは想像に難くありません。

認定されてしまったら?

 なりきりに仲間と認定されてしまうとどうなるか?当然、仲間に引きずり込もうとします。あなたの都合などお構いなしに。たとえそれが街で見かけただけの人であっても、自分たちに都合がよければ厨にとってはそれでも構わないのです。そんな連中にいちいち付き合う必要はありません。

拒否する
 なりきり厨につきあう気がないのなら、きっぱりと拒否の姿勢を示しましょう。一度拒否を伝えたら無視してその場を立ち去りましょう。

ルートを変える
 なりきり厨との遭遇が通勤あるいは通学途中であった場合、同じ場所で待ち伏せしている可能性があります。多少面倒でも通勤・通学のルートや時間を変更した方が安全です。

イメージチェンジをする
 「認定」する根拠は、特定のキャラクターの名前や髪型、特徴が似ているといったことです。たとえば、長い髪を短く切ってメイクも変えてイメージチェンジすれば、認定が外れてどっかへ行ってくれる……そんな場合もあります。しかし、いくらイメージチェンジしたとしても、厨の脳内で勝手なストーリーが組み上げられていたり、イメージチェンジしたことに怒り却って逆上するということもあるので注意が必要です。

防犯ブザーを携帯する
 もし、街や職場でなりきり厨に絡まれたとしたら、男女の区別なくストーカーとして扱うべきでしょう。少なくとも、防犯ブザーを持ち歩くくらいの警戒は必要です。

周囲に助けを求める
 学生なら教師などの学校関係者、社会人なら職場の人間に「こんなことがあった」と話しておきましょう。いきなり助けを求めるよりも、これまでの事実を話し「何かあったら助けて」といった程度の相談で構いません。
 もちろん緊急事態であれば、すぐに助けを呼ぶべきです。

警察に相談する
 周囲に助けを求めるのと同様、警察にも相談しておきましょう。警察に行く場合には、交番や派出所ではなくその地域の警察署などある程度大きい警察署に行くとよいでしょう。なるべくスーツなどのきちんとした服装で、未成年の場合には成人、女性の場合には成人男性に付き添ってもらい、ストーカー相談窓口に相談しましょう。警察に「なりきり」を説明する必要はありません。「不審な人物に付きまとわれている」というように事実をありのままに説明しましょう。
 警察は実際の被害がないとなかなか動いてくれません。それでも“相談した”という実績は残りますので、もしも後々被害にあうようなことがあっても比較的スムーズに警察が動いてくれるはずです。

 信じられないことに、なりきり同士のネットワークが存在し、掲示板やメッセンジャーなどで情報を交換することもあるようです。もし、個人情報が漏れてしまったら大変なことになるかもしれません。脅かすわけではありませんが、頭のおかしな人が変なこと言っている、と簡単に考えていると大変なことになりかねません。

前世厨

 なりきりだけでも十分変なのに、厨の脳内設定が進化して「前世」を持ち出してくることがあります。前世厨になると「前世では恋人(夫婦)だった」「思い出さないのは○○の呪いが掛けられているからだ」「私がその呪いを解いてあげる」と言った行動に出てきます。こうなると話が通じません。「前世」という便利なキーワードを使って、自分たちに都合よく物事を進めようとしているだけです。
 そういえば、1980年代~90年代まだインターネットが普及していなかった頃、友達募集の雑誌に「前世で共に闘った友を探しています」などというコメントを見かけることがありました。余りにインパクトがありすぎて、テレビなどでも紹介され問題視されたこともあります。

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