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銀河北極

レヴェレーション・スペース(2)銀河北極

 星間船インロンデル号は、宇宙海賊の罠に掛かり捕獲されてしまう。副長の裏切りにより乗客を連れ去られ、彗星に取り残されたイラベル・ベーダ船長は、乗客を我が子のように感じる精神的条件付けにより、乗客の奪還と復讐のために宇宙海賊の追跡を開始した。数万年に及ぶ宇宙的スケールの追跡劇を描いた表題作『銀河北極』を含むレヴェレーション・スペース(啓示空間)・シリーズを彩る中・短編集。

 『カズムシティ』や『ダイヤモンドの犬』(『火星の長城』収録)を読んだ時にも感じたが、作者のアレステア・レナルズは悪趣味だと思う。“ウルトラ族”(自らの肉体を宇宙航行用に改造してしまう)といった設定などは、他の作者(特に近年多数翻訳されている英SF系とか)にも見られるけれど、設定を超えて全体的に悪趣味。日本で例えるなら諸星大二郎的悪趣味といえるかも。決して貶めているわけではない。むしろ好き。

 ただし、この悪趣味さ加減は一部の読者には受けても、他方で強い拒否反応を生みかねない。特に読者にその姿を想像させるオチの『ナイチンゲール』とか。表題作である『銀河北極』なんかは、悪趣味さは少なくて宇宙的なスケール感と自らの宇宙史全体を俯瞰で見渡すというアイディアで美しさすら感じさせるのだが。

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