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録音録画補償金に関するいくつかのこと

朝日新聞の1/17付けの記事から。

iPodに補償金上乗せ、検討へ 文化審小委員会(朝日)

 文化審議会著作権分科会の私的録音録画小委員会(主査=中山信弘・東大教授)は17日、iPodなどの携帯音楽プレーヤーや、次世代DVDを含めたハードディスク内蔵のDVDレコーダーの価格に「私的録音録画補償金」を上乗せするかどうかを2月以降、検討することで合意した。iPodに補償金がかかれば、1台あたり数百円になるとみられる。

 デジタル機器は楽曲やテレビ番組を同じ品質で簡単に複製できるため、MD、DVDやレコーダーの価格に著作権者への補償金を加えている。だが、対象となっていないハードディスクやフラッシュメモリー内蔵の再生機器が近年、急速に広がったため、06年度の録音補償金は00年度の4分の1強にまで減少。対象の拡大を求める著作権団体とメーカーが対立していた。

 これまでさんざん揉めてきたHDD等への「録音録画補償金」の検討を合意?業界団体があれだけ反対してきたのに?と思ったら、こんな記事が。

asahi.com「iPod課金検討」報道、文化庁「事実に反する」と抗議(ITmedia)

 朝日新聞のWeb版「asahi.com」は1月17日付で、同日開かれた文化審議会著作権分科会の私的録音録画小委員会が「iPodやHDD内蔵DVDレコーダーに補償金を上乗せすることを2月以降検討することで合意した」と報じた。

 これに対し、小委員会を担当する文化庁の川瀬真・著作物流通推進室長は「事実に反する報道で、記事を書いた記者に抗議した」と報道内容を否定した。

 ITmedia記者が冒頭から最後まで傍聴した限りでは、この日の小委員会ではそういった議論や合意はなかった。

 今期の小委員会は1月23日で終了するが、今後については23日に議論する予定。文化庁は「小委員会を来期も開くかどうかを含め、今後の予定は決まっていない」としている。

 どうやら、事実無根のいわゆる“とばし”記事だったらしい。(すでに記事は削除されている)流石、朝日。今年もアサヒってるなぁと思ったが、本当にただの誤報だったのだろうか?「もしかしたら何か思惑があって意図的に記事が書かれたのかも」などという邪推も生まれてくる。というのも、以下のような権利者団体側の動きがあったからだ。

権利者団体が「Culture First」宣言、文化保護で補償金の拡大求める(インプレス)

音楽や映像などに関する28の権利者団体で構成される「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」(以下権利者会議)は15日、「Culture First~はじめに文化ありき」の理念のもとに行動することを宣言した。今後は「文化」の価値を訴え、消費者の私的複製によって発生する権利者の経済的不利益を穴埋めする「私的録音録画補償金制度」の拡大を求める考えだ。
(後略)

ITmediaにも記事があった。
「iPod課金」は「文化を守るため」――権利者団体が「Culture First」発表(ITmedia)

 こうした動きに連動しているのではないか?朝日とITMediaの記事を比較すると、朝日の記事が権利者団体(寄り)の人間からの情報としか思えないからで、今後、権利者団体が有利になるよう世論を誘導したんじゃないか、とも受け取れる。

 そもそも、権利者団体側のこの宣言もおかしい。私も文章を書いて生活している身なのでどちらかといえば著作権者ということになるので、「文化の大切さを消費者に伝える」ということは大切だとは思う。だが、そのことと「補償金制度の拡大」がなぜつながるのか?
 以前にも書いたが、iPodなどへの補償金上乗せは「補償金の二重取り」を招く。権利者団体はそのことに対してまったく回答していない。『二重取りしてもいいじゃないか』と言っているに等しい。消費者からみれば泥棒に追い銭だ。

 これでは「Culture First」ではなく「Money First」だ。

 著作権に関する啓蒙が第一。文化の大切さ、クリエイターに対するリコメンドがあってから、あとからその創作物への対価が還元されるという流れを作るべきで、最初から「金寄こせ」では消費者も引いてしまう。結局誰も対価を払わなくなってしまうのではないか?権利者団体は目先の利益に目がくらみ、将来のことなど考えていないように思える。権利者団体の人々の中には、彼らが想定する消費者の中から将来権利者が生まれるということが分かっていない。あるいは権利者が消費者となることも。

 なぜ権利者団体がDRMに反対するのか。それはDRMが推し進められた先に創造者と消費者の直接取引という将来が見えるから。
 例えば現在の音楽CDに関して考えてみると、ネット配信ならCDのプレス、ブックレットの制作と印刷、梱包作業、物流、卸問屋、CDショップが不要。もっと簡単にDRMと課金システムが構築できるようになれば、レコード会社もいらなくなる。クリエイターは自分でサイトを立ち上げそこで販売すればいいのだから。
 まぁ、これは極論としても、現在のシステムで暴利を貪っている連中は排除される方向に進むのは確かで、そうした利権を手放すのが嫌な連中が騒いでいるんじゃないの?という考えも浮かぶ。

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