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超人類カウル

超人類カウル

十五歳の娼婦ポリーは、死んだ娼婦仲間の兄ナンドルーが奪った不思議な物体をめぐる争いに巻き込まれ、連合政府の暗殺者タックに命を狙われる。しかし、ポリーが手にしたその不思議な物体<トー>は、タイムラインを自由に動き回る怪物<トービースト>の一部であり、装着者の生命エネルギーを喰らいながら時間を遡る生体タイムマシンだった!<トー>の影響により図らずもタイムシフトしてしまったふたりは、遥かな未来で起きた二大勢力の争いに巻き込まれる。そして<トー>が行き着く生命誕生前の地球では、究極の人間として作られた超人類、カウルが待ち構えていた。様々な時代から<トー>を使って人間を拉致するカウルの目的とはなにか?

“時間モノ”は、厳密に考えれば考えるほどに制限がきつくなり破綻のないストーリー構築が難しくなる。いわゆる『親殺しのパラドックス』の縛りだ。『タイムマシンを使って過去に戻り、自分が生まれる前に親を殺してしまったら自分はどうなるのか?』という有名なパラドックスで、例えば「絶対に親は死なない」とか「親が死んだ時点で別の世界になる」とか、いろいろな回避方法が考えられてきた。無視してしまうのが一番簡単だが、それではSFとしての深みがなくなってしまう。言ってみれば、“どうやってパラドックスを回避するのか?”が作家の腕の見せ所なのだ。

『超人類カウル』では、このパラドックスを奇抜なアイディアでうまくストーリーに組み込み、未来から生命誕生の瞬間までの数億年のタイムスケールを縦糸に、複数の思惑が交差するサスペンスを縦糸に、極上のSF作品に仕上げられている。

ただ、途中で登場する原始人やローマの戦士のサブストーリーはなくても良かったように思う。冗長とまではいかなくても、なくても本筋に影響ないというか、映画化されたらかっとされるに違いない話ではある。

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