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ダビング10に関する記事で

 権利者団体が、ダビング10を人質に取ってiPod課金制度を強引に認めさせようという動きは所謂IT系ニュースサイトで取り上げられている。マスコミ全体がちゃんと理解していると思っていたのだが、それは違うようだ。

ダビング10 メーカーの頑固さ、なぜ?(読売新聞)

 デジタル放送のテレビ番組を録画する際の消費者の不満を、軽視してはいないか。
 たった1回しかできなかったDVDへのコピー回数を10回まで増やす「ダビング10」の実施が、6月2日の開始予定日を目前に、暗礁に乗り上げそうな情勢だ。
 番組にかかわる著作権料の徴収制度に機器メーカーが反対しているためだ。この問題を検討している政府の委員会でも、メーカー側の頑固な姿勢が目立つ。
 すでにメーカーは「ダビング10対応」をうたった録画機器を数十万台販売している。コピー回数の制限緩和も、メーカーとテレビ局が作るデジタル放送推進協会が決めたものだ。約束を守れなくても責任はない、とメーカー側は言い切れるだろうか。
 問題があるなら、どうすればいいか。はっきり主張して制度作りに協力すべきだ。合理的な主張なら、政府も調整機能を発揮してまとめていかねばならない。
 ダビング10の導入は昨年夏、放送事業を所管している総務省の委員会で決まった。
 デジタル技術なら、ほぼ完全な番組のコピーができる。映像や音声はぼけない。コピーは1回という制限は、最新の技術から著作物を守る目的だったが、消費者からは不便だとの声が出ていた。
 この委員会は同時に、番組制作にかかわるテレビ局などにも配慮し、制限緩和に伴う著作権料の徴収制度作りを前提条件とした。
 これを受け、著作権法を所管する文化庁の委員会では、著作権者に支払う補償金をデジタル録画機器の価格に上乗せして徴収する案が提示された。既存の録音録画機器を対象に設けられている「私的録音録画補償金制度」を法改正で手直しして対応する。
 消費者団体の委員も理解を示す中、メーカー側の委員だけは「10回に増えても制限があるなら補償は不要」「補償金の対象が際限なく広がる」などと反対した。
 補償金の額は1台当たり数百円になるという試算もある。価格に転嫁できるのかという、メーカー側の苦しい事情も分かる。
 ただ、ダビング10の行方が迷走していては、消費者は録画機器の購入をためらうだろう。テレビ観戦や録画の機会が増える北京五輪も控えている。その商機をみすみす逃すつもりだろうか。
 2011年の地上テレビ完全デジタル化の足かせにもなる。アナログ放送の方が録画は便利、という印象が強まりかねない。

 5/10付けの読売新聞の社説だ。2ちゃんねるなどでも話題になった。読んで分かるように、完全に権利団体側(というか反メーカー)の立場に立ったものだ。批判することは問題ではないが、明らかに事実と異なることを論拠に書かれた文章など意味がない。意味がないだけでなく、何も知らない人たちに嘘の情報を教えることになるのだから、害毒といっても構わないだろう。

 1センテンスごとに突っ込みを入れたいくらいだが、長くなってしまうので簡単にポイントだけ指摘しておく。メーカーが反対しているのは、これまで補償金制度を縮小・廃止する方向で議論が進んでいたはずなのに、いきなり補償金の範囲拡大案が出てきたからであり、今後範囲を拡大される懸念が表面化したからだ。

 また、「デジタル放送のテレビ番組を録画する際の消費者の不満」はコピーガードそのものであって、コピーワンスだろうがダビング10だろうが不便なことに変わりはない。しかも、それを補償金の範囲拡大というコピー問題と関係ないところで持ち出していることが問題。このあたりのことは、以前のエントリーにも書いた。

iPodへの補償金課金

続・iPodへの補償金課金

 こちらのブログでも指摘されている。辛辣だが間違ってない。

知らないなら黙ってればいいのに - コデラノブログ 3

 知らないなら黙っていろとまでは言わないが、少なくとも知らないことは調べてから発言すべきだと思う、ジャーナリストを名乗るのであれば。それこそ大手マスコミなら、議事録だってすぐに入手できるだろうし、メンバーに直接インタビューだってできるはずだ。そもそも、取材を続けている人間、成り行きが気になってチェックしている人間なら、こんな間違いだらけの記事は書かないだろうが。

同じブログ内で触れられている朝日新聞の記事も引用しておこう。

iPodなど著作権料課金案、メーカー側難色(朝日)

文化庁は8日、iPodなどの携帯音楽プレーヤーと、テレビ番組を録画するハードディスク内蔵型レコーダーに「著作権料」の一種を課金する制度改正案を文化審議会に提案した。3人のメーカー側委員からは「改正案をこのまま受け入れることは非常に難しい」などと改正案に難色を示す意見が相次いだ。結論は今月29日に開かれる次回会合に持ち越された。
(中略)
 文化庁の改正案は、この問題を検討してきた同審議会の私的録音録画小委員会に提案された。20人の委員のうちメーカー以外の委員をのぞく他の委員からは、消費者側委員も含めて「一定の評価をしている」「現実的な案」などと改正案を支持する意見が相次いだ。

 CNETなどの記事を読む限り、「指示する意見が相次いだ」というのは言い過ぎだろう。ちゃんと「権利者団体の透明性」や「補償金廃止までのロードマップ」を示す必要があると指摘している。このあたりの情報を意図的に隠し、メーカーが孤立しているかのような印象を与える記事だ。プロパガンダって怖いな。

 確かにこうした協議に興味がない人間にしてみれば、よく分からないから新聞報道を鵜呑みにしてしまうこともあるだろうし、そもそも記事を読まないかもしれない。そして、法律が決まってから不利益を被って騒ぎ出すわけだ。「後期高齢者医療制度」などと図式は一緒だ。

 一般消費者には(言いたいことが山ほどあっても)、協議会に乗り込んで発言する機会は与えられないし、その権利も与えられていない。だからせめてブログなどで意見を発信するしかない。こんな努力でも実りがあればいいのだが。

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