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自分の考えに固執する余りに何でも噛みついてしまう人々

準天頂衛星「みちびき」の打ち上げが近づいてきました。「みちびき」がうまくいけば、都市部でのGPS精度も格段に向上するはずですから、なんとかこの1機だけでも成功して欲しいものです。本当はあと2機は欲しいところですが、「GPSがあるからいいじゃん」という人々を説得するだけの材料がないことは残念。日本独自の測位システムを持つこと自体が重要なんだけど。

 で、そんな準天頂衛星の打ち上げに反対する人々もいる。

9・11準天頂衛星「みちびき」打ち上げに反対しよう!

02年に三菱電機や日立等が出資して「新衛星ビジネス」が設立。当初は官民での衛星開発・運用が計画されましたが、コストの大きさに比べて、通信・放送ビジネスからの収益性の低さを解決できず、06年3月に通信・放送の事業化を断念。結局、750億円という巨額の費用全額を国費で負担し、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発を進めてきました。もともと3機を打ち上げ、常に日本の天頂に1機の衛星が見えるように計画されましたが、2機目以降の打ち上げのメドはたっていません。本来なら「事業仕分け」で中止されるべきプロジェクトです。

 おかしな点を箇条書きで指摘してみます。

  • まるで測位システムが後付けのようにも読める
     →測位システムは当初から予定に組み込まれています。通信・放送が撤退したのは、モバイル放送(ワンセグじゃない方)の状況や地上波デジタル放送への切り替えがあって、事業が成り立たないという判断。
  • 750億という数字を挙げて、無駄な税金が使われたと思わせたい
     →750億は5年間の総予算。年間150億なら国の事業として巨額とは言えない。
     予算については、こちらのPDFが参考になります。(少し古い資料ですけど)
     http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/sokuitiri/190322/siryou5-1.pdf
  • いきなり「事業仕分けで中止されるべき」という論理の飛躍
     →総額750億の予算が掛かったから事業仕分けの対象になるという意味なのか、何を持って「本来なら」と言えるのか謎。そもそも事業仕分けは、これから行われる予算分配について行われるものであって、「みちびき」は対象になる訳がない。

 つまり、この文章は、準天頂衛星がさも無駄なプロジェクトであるか、とミスリードさせようという意図が見える文章と言えます。

この間、「宇宙開発戦略専門調査会」座長を務め、宇宙基本計画の策定に役割を果たした寺島実郎氏らが、正確な海洋資源探査が可能になると主張し、準天頂衛星の必要性を強調してきました。

 準天頂衛星の大きなメリットは、GPSの補完機能です。もちろん、海洋資源探査にも役立ちますが、まず都市部でのGPS精度が向上することを書かずに、私たちの生活と直接関係ない海洋資源探査の話を持ってくるのは、かなり悪意を感じます。そうでなければ、ただ単に無知なだけなのか。

加えて、最近台頭してきたのが、「安全保障」名目で税金無駄遣いの衛星開発を正当化する言説です。
準天頂衛星の「最も重要なポイント」は「安全保障上重要な意味を持つ」ことだと露骨に主張する鈴木一人氏(北海道大学公共政策大学院准教授)の論文が雑誌『WEDGE』7月号に載りました。彼は青木節子氏(慶応大学教授)とともに、宇宙の軍事利用に道を開く「宇宙基本法」制定にも深く加担した人です。
(中略)
……「安全保障活動」とは「戦争」です。鈴木氏は日米共同軍事作戦の強化に役立つと主張しているのです。こうした好戦的な学者が政策決定に深く関与していることに恐怖を覚えます。そして、背後に米国や軍産複合体の強い意志があることも見逃せません。
(中略)
測位衛星は無人偵察・攻撃機などの「戦争の無人化」に不可欠の危険なシステムです。

 測位システムは、安全保障に大きな意味合いを持ちます。敵味方の位置が分からなければ、間違った対応をしてしまう場合があるからです。欧州で計画されている測位システム「ガリレオ」も、目的のひとつとして「安全保障」を挙げています。しかし、「安全保障活動=戦争」という考えは、暴論に過ぎます。この文章を書いた人は、準天頂衛星の軌道も知らないのでしょうか?準天頂衛星の軌道は、特殊な8の字を描く軌道で、多くの時間日本上空に居ます。東南アジアやオーストラリアの上空も通過しますが、だからといって、日本が東南アジアやオーストラリアに戦争を仕掛けるとでも?

 たとえ百歩譲って、無人機に準天頂衛星が利用されるとして、それは準天頂衛星が悪いことになるのでしょうか?この文章を書いた人にとっては、そのようです。というか、GPSが世界征服の道具か何かと勘違いしているようにも思えます。無人機が利用する可能性があるからといって、GPSの使用を中止できますか?カーナビ使えなくなるんですよ?航空機を運航する上で安全性が低くなってもいいんですか?…あほらしい。

 そもそも日本の無人機開発は、今悲惨な状況になっています。防衛省で研究中の無人機は、2回も実験失敗しちゃいましたし。無人機は災害対応や不審船監視に役立つ装備なんですから、そうした利用には目を向けず、すぐに戦争利用だ、武器だなんだと叫ぶ方が、よっぽど好戦的ではないですか。

 また、「宇宙基本法」が宇宙の軍事利用に道を開くとか寝言を書いていますが、これも軍事=悪と決めつけていますね。軍事には攻撃だけじゃなく、防衛活動も含まれるんですよ。宇宙基本法では、軍事利用は防衛のみとなっています。戦争が悲惨だなんて、言われなくても分かっています。世界の多くの人たちは、戦争を起こしたいなんて思っていません。それでも戦争は起きてしまう。ならば、そのために自衛する準備はしておくべきでしょう?

 軍事に関係すれば、何でもかんでも悪い。こんな考えの人たちは、自分たちの考えに固執しその考えが本当に正しいのか間違っているのかなんてことも考えません。まして、準天頂衛星の軍事利用なんて、こじつけもいいところ。「自分たちは正しい。自分たちに賛同しない人間は間違っている、悪人だ」と、思い込んでしまう。その点では宗教と似ているかも。

 こうした人々と議論したり、説得しようとしても無駄です。「もっと広い視野を持って」と言っても、敵認定して攻撃してくるだけですから、こちらが疲れるだけです。昔、Nifty-Serveでシスオペ/サブシスやっていた頃に身をもって感じたことです。ただし間違っている部分は指摘しておかないと、その間違った認識が広がってしまう可能性もあるわけで、似非科学やホメオパシーなんかと一緒。困ったものです。

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