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クロノリス ―時の碑―

2021年。タイの山中に突如として現れた巨大柱―クロノリス―には、20年先の日付とクインという人物による勝利宣言が刻まれていた。破壊不可能な物質で作られたクロノリスは、その後も世界各地に出現しその場所を破壊していく。最初のクロノリスを目の当たりにしたプログラマー、スコット・ウォーデンは、やがてかつて師事した理論物理学者スーの下で働くこととなり、クロノリスとの戦いに巻き込まれていく。
『時間封鎖』の作者が描く、未来からの侵略SF長編。

 『時間封鎖』もそうだったけれど、作者であるロバート・チャールズ・ウィルスンは、「どんどん崩壊していく社会」を描くのが好きなんだなぁと。『時間封鎖』は、宇宙から隔絶されてしまった地球というアイディアだったが、こっちは未来から送り込まれた物体によって、まるで水面に波紋が広がって行くように、次々と物事が連鎖していく。しかも、「偶然はない」という強引さで読者を引っ張っていく。自分ならどうするか、なんて空想する暇も与えず、どんどん進んでいく。

 冴えない主人公が、常に最前線にいるわけではない、というところが、また読者の焦燥感を煽る。しかも、冒頭に書かれているように、物語はすべて過去形で語られる。つまり、終わっていること、(主人公は)結果が分かっている物語。ストーリーテラーは、焦る必要がないのに、読者ばかり焦(じ)らされてこんな不公平があるかっ!

 そこまでして、やきもきさせられた最後は、ちょっとすっきりしない。何も解決していないとも取れるからだ。きっちりとした結末が提示されないのは、時間をネタにしているからなのか、「重要な局面には近くにいるくせに、立場はいつも第三者」な主人公だからなのか。個人的には、説明不足な感が残る一冊だった。

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